2012年9月8日土曜日

【エフスタイルインタビュー】さん


【9:感性をつなげてくれる人】
星野「この本はカメラマンさんとかデザイナーさんとか編集者さんとか、今もつながりがあって切れていないんですね。すごくいい出会いを生んでくれた本なんだけど。印刷に私たちも立ち会って、全部自分たちでチェックしたんですよ。これってA1くらいのところにいろんな写真が組まれて一気に進んでいく。そのインクの分量とかで写真の色のバランスもあるから、職人さんたちが「もうちょっとマゼンダあげて」みたいなかんじで現場でチェックするんです。二日間凸版印刷に通って、刷り上がったものに丸とかつけて、また一時間くらい待って、くだらない話をして。編集者さんも全部立ち会うスタンスの人で、一緒に見て。あとプリンティングディレクターっていう人もいて、職人さんと私たちの感性をつなげてくれる人もいて」
山口「すごい。」
星野「その人も美大卒でそういう現場にいる人って全然いないんですって。でも確かにそういう印刷物ってデザイナーさんと現場の人では意思疎通ができないと成り立たない。もうちょっとばりっととか、もうちょっと柔らかくとか湿度があるかんじでとか、そういう肌感覚を指示できる人って必要。そういう人ってなかなかいない。その編集者さんはそのプリンティングディレクターっていう人を信頼できるから指名している。そういう印刷会社の現場に、美大卒の感性のある人が送り込まれていて、その人がいることでクオリティが保たれている。」
五十嵐「実はキーパーソン。」
星野「すごいいい働きしているなって。大事なポジションだけど、以外と見逃されている。デザイナーとかの華やかな世界が目立ちがちだけど、それを支えている人たちの世界にも感性は絶対に必要なんよね。だから、おもしろかったよね。」
五十嵐「おもしろかった。本当に多くの人が関わってこの一冊になるわけで、どこがかけても成り立たない。」


【10:作り手には作ることに集中してほしい】
星野「作る人は本当に作ることだけに向き合っているほうがやっぱり良い仕事できるんですよ。私たちもいろんな職人に出会っていますけど、変に器用に話すことも、プレゼンすることも、つくることも全部上手な人っていなんですよ。私たちも問屋業に特化しているわけで、手はかけますけど、ゼロから作りはしないんです。やっぱり作り手には作ることに集中してほしいから、自分たちみたいな役割を考えたわけで。だから私たちからしてみれば、全部器用にできる会社とか企業さんは、怪しいなって。本人たちが社会からブルーワーカーって言われずに済めば、っていうかそれはヨーロッパみたいな職人が尊敬されたり、JAPANではなく産地の名前が世界中に名前を轟かせるみたいな製造の文化とか歴史とか彼らの誇りとか。だからその誇りっていうのもいろんな人の評価があってこそだし。淡々とこう本人たちが誇りを持っていれば。社会も高い存在として見れば、全く問題ないと思う。でも、今の一カ所に利益が集中するシステムを保とうと思えば一番プレッシャーをかけられて弱い立場にしないと売り上げが保てないから。こっちの社会の地位をあげてしまうと売り上げが生産者に行かないから難しい。みんなに平等に分け与えればどっちの力差もなく私たちはそういう考えで仕事してますけどね。」
五十嵐「でももう買う人たちも植え付けらている部分があるから物の値段があがって、納得してかってくれるかっていうとまた話はちがう。難しい。」



【11:本当のお客さん】
星野「結構私最近思うのは新しい商売(特にお店屋さん)を始めたいっていう人と話をしたときに、どんなことがあっても毎回毎回あなたのところにきてお買い物してくれる人が自分に何人いるんだろうって考えたときに、その人数くらいのサイズで規模を考えた方がいいなって思います。ギャラリーとかそんなに買わないものを売っているお店とかは特に。どんな企画展やっても来てくれる人とか、毎回小さくてもなにか買ってくれる人っていうのイメージして。今の人ってネットでもものを探せるからただ見に来る人って多いじゃないですか。たださーっと見て。そういう人をお客さんとして数えちゃいけないというか。それこそファンでいてくれるお客さんが自分に何人いるかって考えたときに、お店の経営の仕方とかを組み立て直した方がいいと思います。」
山口「今、ぱっと思ったんですが、ネットで販売されていないですよね」
五十嵐「あの、買いやすいようなWEBショップみたいな感じにはしていないんですけど、商品を見てメールから注文できるようにはしています。」
星野「それには本当に理由があって、うちは卸し業がメインなので、実店舗で買ってほしいわけですね。うちの本当のお客様は取引先様で、その人も自分の身銭を払って仕入れてくれているわけだから。それはそこから買うのが(決まりというか)。ねえ、売っているお店があるのにも関わらずうちから直接売るのはルール違反だとなんとなく思っているから。WEBショップで私たちの商品を売っているところを見つけるとお断りを入れたりします。自分たちはこういうスタイルでやっているから、そういう売り方はしたくないんですと。直接見て、自分の肌で感じて買ってほしいから。」



【12:ただ私たちはこれが好きです】
五十嵐「その、卸しというか自分たちだけで完結しないところはまた楽しいなと思いますね。取引先さんとの関係とか。あの人たちがいるから実際に全国に手に取って見てくれる場所があって、地方のお客さんとつながれる。結構展示会も楽しいです。」
星野「鍛えられるし。」
五十嵐「行商ってすごいいいなって。商品持っていって、全アイテムを見てもらって手応えもわかりますしね。」
星野「自分たちにも愛情があるから、自分たちの言葉で伝えて初めて伝わることもあるし。」
五十嵐「そうだね。それこそ役割を感じる。」
星野「物だけおいても、今は売れないと思います。やっぱり値段で比較すれば代替品があるし、ただこれはこんなに大変で作っているから、絶対この値段でいいんですとも言えないし。ただ私たちはこれが好きですっていうことを伝えて行きたい。」
星野「あたしたちはこれのこんなところが好きですっていう気持ちを伝える。それをじゃあ買ってくれってことではなくて。私たちの仕事ってそうかもしれないですね。自分たちがどうかっていう自覚はないんですけど人の仕事を褒めるのは結構自信があります。人のいいところ見つけるのは自信があります。」
山口「それはすばらしいですね。」
星野「いやわからないですけど。なにごとも。」
五十嵐「しかもいいところだけではなくて、いろいろあるじゃないですか。でもそういうのも含めて好きっていうのはとても人間らしいし。」





0 件のコメント:

コメントを投稿