2012年9月11日火曜日

エフスタイルさんにインタビューしてきました。

ずっとずっとお話を聞きたかった人がいる。

エフスタイルさん。
新潟を中心に五十嵐恵美さんと星野若菜さんのお2人で
「製造以外で商品が流通するまでに必要なことはすべてやってみること」
をモットーにして、デザイン提案から販路の開拓までを一環して請け負う。(エフスタイルHPより)

初めてエフスタイルさんの商品に出会ったのは去年の冬の展示会。
手にとったとき、商品から感じる暖かさにすごく感動したのを覚えている。

そこから「エフスタイルの仕事」も読み、実際にお話を聞きにいきたいなとずぅっと思っていた。
そして、春学期に受けていた授業の中にインタビューを実際に行うものがあり、
その題材としてお話をお聞きしたいとお伝えしたところ、快諾してくださった。


初夏。新潟に足を運んだ。
とてもお忙しい中、お時間を割いていただき、お話を聞かせていただいた。
そのお話の中から、24の印象的なコトバを取り出してまとめてみた。

とても勉強になったので、私だけにとどめておくのはもったいない!
という衝動にかられてここに載せます。
おすそわけです:)




2012年9月10日月曜日

【エフスタイルインタビュー】いち


【1:気持ちが通じたときに仕事がはじまる。】
星野「ただ商品を流通させようと思ったらそれを売ればいいだけだけど、うちは届ける先との関係をすごく大切にしているから、本当に見た目の効率わるい。あるカフェも4年前くらいからそういうお取り引きの話しはあったんだけど、お互いの現場を知ってからにしましょうというスタンスなので、顔合わせながら、会話をしながら進めて行きました。出会いを熟成させて、お互い気持ちがちゃんと通うようになってから商売をスタートするから、その後も長いわけですよね。例えば、取引先に来ていただいて、ここでの作業や仕事の動きを見てもらっていると、「ああ、あの部屋であんな仕事しながら、こんな風に仕事しているんじゃないかな」って想像できる。そういうことって結構継続につながるんです。例えば、お金を支払ったとか支払っていないとか、自分たちのこういう関わり方をしているのにお支払いいただけないとか。それはお互いの現場を知らないから生み出してしまうこと。私たちは一時的に売り上げをのばすというよりかは、すぐ始めたいと思ったとしても、継続するためにゆっくり時間をかけます。」
五十嵐「すごいタイミングって大事で、特に今回のカフェの件とかはそう思ったかな。こちらに来てもらって私たちの仕事だけを見てもらってスタートするっていう話しではない。お互いにいいお店だなって思っても、本当の意味で今ではないことはお互い感じていて、昨日来ていただいてお話をしたときは本当に今なんだって感じたんです。なんかね、それは会う回数を重ねたからあるっていうわけでもなくて。なんかねこうぴったり気持ちがあう、気持ちが通じたときにはじまるって感じ。でもそれは、仕事だからってわけでもなく、深い関係だからわかるってわけでもなく。やっぱり仕事においてもそういう関係って不可能ではない。」
星野「だから、無理矢理しないというか。嗅覚だね。」


【2:同じ経験を重ねて感覚を近づける。】
山口「ひとりの感覚と別の人の感覚ってあって、エフスタイルさんはいるわけじゃないですか。それで「今だ」って思うタイミングがお2人で同じってことで。それってなかなかないというか。それってどんな感じなんでしょうか。」
五十嵐「まぁ、やっぱり同じ経験を重ねて来ているからだと思います。いつも一緒に居て、2人で取引先の人と会っている。2人は同じことを経験しているから。それだけです。」
星野「西村さんもよくいっているけどりんご1つとっても、りんごってふじとかいろいろある。でも、例えば2人で同じりんごを向いて食べた機会があれば、「あのとき食べたあのりんご」って言うと本人たちは味もにおいもシュツエーションも全部思い出す。「あのとき食べたあのリンゴ」のような経験を重ねていることが、たぶん感覚が会うっていうこと。一緒に居て、その人と話して、感じた空気感がお互いにたまっている。」
山口「それって離れていちゃできないことですね。」
星野「だから、ただセンスとか感じ方とかが似ているっていうよりも具体的に同じ経験をすることがどんな場面においても必要なことだなと思います。そして、私たち2人ともどっちに雇われているわけでもなければ雇われているわけでもない。2人で現場に行くことで同じ立場の同じ経験になる」



【3:2人でつくるビジネス。】
山口「お2人のビジネスの形態はどういう形なんでしょうか。」
星野「個人事業主で、完全に2人代表っていう形です。」
五十嵐「まぁ、よかったなって思うね。今のお話の経験重ねるっていうのは作り手だったり、取引先の人だったりにおいてもおなじで。2人っていう人間が作り手とも関わる。2人っていう単位だからこそ、問題が起きたとしても作り手の人と一緒に経験してどう思うかみたいなことがやっぱりその人たちにもリアリティがある。この2人の人間が一緒悩んで、一緒に考えて、頭にきてるとか喜んでいるとかそういうことも含めて一緒に物作りしている。」
山口「その取引先に必ずお2人で行かれるのですか。1人でいかない理由は経験を共有する以外になにがあるのですか。」
星野「あんまり考えたことないけど、私たちってひとりで完結しているわけではなくて、それぞれに役割と特徴がある。具体的に言えば、経理とか実務的なのは彼女(五十嵐さん)が結構メインでやっている。で、ディスプレイとか、このお店にどんな商材があうかっていう視覚的なことは結構私(星野さん)が担当することが多い。同じひとつの仕事を果たすのにもそれぞれ役割があるから、実際2人で行かないと話しにならないことが多い。片方で取引先に行くと結局こちら側が相手に聞いてみますねってなるし、その伝わり方がまたうまく行かないとかがあるだろうし、次のステップで支障がでてしまうだろうし。でも今後ずっと2人っていうのは難しいと思って、いろいろスタッフの人もって考えるけど。今まで全部の窓口が自分たちで、取引先とやりとりして、デザインして、プロダクト考えて、商品を触って、出荷して、お金のやりとりをしてきた。自分たちが持っている現場をどうやって人に仕事を引き渡せるかなっていうのは考えます。」



【4:やっていて幸せなことと、世の中に求められること】
山口「2人という数について、本(エフスタイルの仕事)に2人であったり、新潟で活動することに限界があるかもしれないと書いてありがましたが、今なにか考えられていることはありますか?」
星野「なんていったらいんだろうな。この本も4年前の話しで今また4年後かたちが違ってきて。自分たちがやりたい、やっていて幸せなことと、世の中に求められていることってあるじゃないですか。できればこのまま裏方でひっそりやっていたいとしても、いろんな人に引っぱりだされて、いろんなところで話をしなきゃいけなかったりだとかして。なんでこんな人の前で話さないといけないんだろうって思うけど、それって自然なながれで。自分たちが本気で考えて、産地の人と物を制作して、出荷して、っていうメインの一番大事な仕事以外にもいろんな仕事が増えてきた。でもそれを完全に切り離して、ものづくり以外の仕事を「ものづくりの仕事があるから絶対いけません」って切り離していいの?って話で。私たちもなぜかよくわからないんだけど、そういう話はぞくぞくと増えていくわけですよね。でも本を書いたり、フォーラムに参加したりして得られることが自分たちに蓄積されて、次につながるエネルギーになっているわけで。だからどっちも大事じゃないですか。そうなった場合にやっぱりこう、自分たちがある程度手触りを感じてポイントさえ押さえていれば、ものづくりの仕事を少し手だってくれる人に受け渡しながら、本業じゃない仕事も全部は無理ですけど世の中にそういう役割があるのであればちゃんとお答えしたいなという気持ちはあります。ただ、本業以外の仕事がメインになってものづくりを見失うっていうのはいやだから。こっちの継続ももちろんやっていくけど。でも今は完全に2人だから、本業以外の仕事が増えていっていて、いまパンパンです笑」









2012年9月9日日曜日

【エフスタイルインタビュー】に


【5:ヒット商品はつくらない】
星野「一時的にプロジェクトでものをつくりましょうって騒ぎ立てることはできても、本当に同じ形の同じ商品を10年後も20年後も売り続けるって本当にスタミナがいる話。うちは定番のものを継続して作って、継続して作り手にお金を支払うことを大切にしている。いろんな世界情勢で原料の問題があったりすることもあるけど、みんなで工夫して守っていくし。」
山口「だからヒット商品を出すよりかも、10年後も20年後も同じ分量かはわからないですけど、ものづくりをしたいと….
星野「ヒット商品なんかもさじ加減で、例えばうちの犬のマットなんかも、出始めたことは大手の引きも多かったんですけど、あえて個人商店のちゃんとただしく売ってくれる人たちにしかおろさなかったんですよね。だから、あの時代に流行ったあの犬のやつねって言われなくてすんだんですよね。」
山口「あー。なるほど。」
星野「別に、物の力もそうだけど、同じ力をどうコントロールするかっていうこと。」
五十嵐「すごい伝え方は大事」
星野「だからあれをいくらでもヒット商品ぽく売ることはできたと思う。売ったとしても一年間で100枚−1000枚売るのか、それか数年かけて同じ結果を出すのか。短距離走者か長距離走者か。」
五十嵐「そうですね。あとは普遍性ということについて、このスタイルで10年後も20年後もやりますっていうことが普遍性ではなくて、その時々に求められることに対して、自然な流れで形を変えていく。その中でも変わらないものが普遍性だと思っていて、そういう姿を見せて行きたいと思うし。そのための次の段階なんだろうなって。やっていくとまた見えてくるのかもしれない。」


【6:仕事の交通整理】
星野「ビジネスをビックにすることではなくて、やっぱりその時代にあわせて自分たちの仕事も交通整理をしないといけないわけですね。やっぱり求められたことって少なからず必要とされている。時代の流れにあわせてそういう流れになってきているのであれば、逆らわずに、自分たちの仕事も失わない工夫がいるのかなっていうのはいつも考えている。手段にこだわるのではなく、そのプロセスにこだわりたい。そのプロセスが一見他人から見たらビジネスが大きくチェンジしたように見えても、私たちのなかではいっさい変わりないというか。見えているものは違っていても中にあるものは返って、もっとシンプルな本質に近づいたときにはあまり自分たちには抵抗がないし、お客さんにもそう伝わると思う」



【7:自分たちに集中してお金が集まることに興味がない】
山口「ビジネスの話しなのですが、大抵の会社は利益を、ビジネスを、大きくしようって考えているじゃないですか。それは思わないのはどうしてなんですか。結構不思議に思われません?まわりの人から。」
五十嵐「なんかねぇ、お金がたくさんあっても、それ以外になにもなければなにもねえ。だったら、」
星野「たぶん、自分たちに集中してお金が集まることに興味がない」
五十嵐「ないねえ。ビックビジネスでもあそこに人間関係はしっかりあるのかもしれないけど、なんかいざ転んだときにみんな離れていってしまっては悲しいじゃないですか。“そういう不安はないのかな?”みたいなことは思います。だったら少量でもみんなで支え合って、そういう関係が濃ければ、離れていかずにみんなでどうにかしようするじゃないですか。活きていてそういう安心感があったほうがいいなと思うので。」
星野「自分たちの名前が消えていっても、活動とか自分たちが残していったことで、世の中が少しでもステップアップしたら。その役割を果たせたら」
五十嵐「憧れみたいなこの人がすごいみたいなのではなくて、その人と共通したなにかみたいな。そういうのをいろんな人に残せたら、たぶん残っていくんじゃないかな。」

  
【8: 自分の感覚が育つ働き方】
山口「すごい感覚的なビジネスというか、関わりというか。」
星野「そうですね。だから実際自分たちが経験したり、一対一でお話したり、一対一じゃなかったとしても自分たちの声とか生の感覚を生で伝えることでしか伝わらないと思う。」
山口「なんかその感覚ってどういう風に流れで今にいたるんですか。その感覚の中で強く残っていることはありますか。」
五十嵐「うーん。どれってひとつとれないのかもしれないですね」
星野「全部だもんね。でも今の社会ってスイッチ切ったり、ブレーカーを落として、感じなくしてこなすっていうことが一番問題だと思っていて」
山口「会社についた時にスイッチをあげるのではなく、切るってかんじですよね。はい、仕事しますみたいな」
星野「そうそうそう。だから本当に機械がやっても一緒みたいなことばっかりだから。もっと人間としてそれが。やっぱり仕事って命を削ってお金をもらうわけで。自分の感覚が育つ働き方でありたいと思うし。」
山口「自分の感覚が育つ働き方」
星野「それはいいことも悪いこともあるけれど、感覚を無視して仕事をするのは同じことを繰り返す気がする。一番目に見えないことが一番たよりになることだったりするじゃない。それが一番信用できるけどね。なんかわからないけど。でもやっぱりいろんな経験をすることかな。失敗も成功も含めて。嫌だからにげるのではなくて、なんで嫌なのかが残るからそれも大切な経験です。人が自分たちのことをどう見るかっていうのは全然興味がなくて、自分たち自身が自分たちをどうみるか。自分たち自信を信頼できているのかはすごく大事。どんなに時代が変わっても、自分たち肌感覚が基準。そこには厳しくしているはず。」








2012年9月8日土曜日

【エフスタイルインタビュー】さん


【9:感性をつなげてくれる人】
星野「この本はカメラマンさんとかデザイナーさんとか編集者さんとか、今もつながりがあって切れていないんですね。すごくいい出会いを生んでくれた本なんだけど。印刷に私たちも立ち会って、全部自分たちでチェックしたんですよ。これってA1くらいのところにいろんな写真が組まれて一気に進んでいく。そのインクの分量とかで写真の色のバランスもあるから、職人さんたちが「もうちょっとマゼンダあげて」みたいなかんじで現場でチェックするんです。二日間凸版印刷に通って、刷り上がったものに丸とかつけて、また一時間くらい待って、くだらない話をして。編集者さんも全部立ち会うスタンスの人で、一緒に見て。あとプリンティングディレクターっていう人もいて、職人さんと私たちの感性をつなげてくれる人もいて」
山口「すごい。」
星野「その人も美大卒でそういう現場にいる人って全然いないんですって。でも確かにそういう印刷物ってデザイナーさんと現場の人では意思疎通ができないと成り立たない。もうちょっとばりっととか、もうちょっと柔らかくとか湿度があるかんじでとか、そういう肌感覚を指示できる人って必要。そういう人ってなかなかいない。その編集者さんはそのプリンティングディレクターっていう人を信頼できるから指名している。そういう印刷会社の現場に、美大卒の感性のある人が送り込まれていて、その人がいることでクオリティが保たれている。」
五十嵐「実はキーパーソン。」
星野「すごいいい働きしているなって。大事なポジションだけど、以外と見逃されている。デザイナーとかの華やかな世界が目立ちがちだけど、それを支えている人たちの世界にも感性は絶対に必要なんよね。だから、おもしろかったよね。」
五十嵐「おもしろかった。本当に多くの人が関わってこの一冊になるわけで、どこがかけても成り立たない。」


【10:作り手には作ることに集中してほしい】
星野「作る人は本当に作ることだけに向き合っているほうがやっぱり良い仕事できるんですよ。私たちもいろんな職人に出会っていますけど、変に器用に話すことも、プレゼンすることも、つくることも全部上手な人っていなんですよ。私たちも問屋業に特化しているわけで、手はかけますけど、ゼロから作りはしないんです。やっぱり作り手には作ることに集中してほしいから、自分たちみたいな役割を考えたわけで。だから私たちからしてみれば、全部器用にできる会社とか企業さんは、怪しいなって。本人たちが社会からブルーワーカーって言われずに済めば、っていうかそれはヨーロッパみたいな職人が尊敬されたり、JAPANではなく産地の名前が世界中に名前を轟かせるみたいな製造の文化とか歴史とか彼らの誇りとか。だからその誇りっていうのもいろんな人の評価があってこそだし。淡々とこう本人たちが誇りを持っていれば。社会も高い存在として見れば、全く問題ないと思う。でも、今の一カ所に利益が集中するシステムを保とうと思えば一番プレッシャーをかけられて弱い立場にしないと売り上げが保てないから。こっちの社会の地位をあげてしまうと売り上げが生産者に行かないから難しい。みんなに平等に分け与えればどっちの力差もなく私たちはそういう考えで仕事してますけどね。」
五十嵐「でももう買う人たちも植え付けらている部分があるから物の値段があがって、納得してかってくれるかっていうとまた話はちがう。難しい。」



【11:本当のお客さん】
星野「結構私最近思うのは新しい商売(特にお店屋さん)を始めたいっていう人と話をしたときに、どんなことがあっても毎回毎回あなたのところにきてお買い物してくれる人が自分に何人いるんだろうって考えたときに、その人数くらいのサイズで規模を考えた方がいいなって思います。ギャラリーとかそんなに買わないものを売っているお店とかは特に。どんな企画展やっても来てくれる人とか、毎回小さくてもなにか買ってくれる人っていうのイメージして。今の人ってネットでもものを探せるからただ見に来る人って多いじゃないですか。たださーっと見て。そういう人をお客さんとして数えちゃいけないというか。それこそファンでいてくれるお客さんが自分に何人いるかって考えたときに、お店の経営の仕方とかを組み立て直した方がいいと思います。」
山口「今、ぱっと思ったんですが、ネットで販売されていないですよね」
五十嵐「あの、買いやすいようなWEBショップみたいな感じにはしていないんですけど、商品を見てメールから注文できるようにはしています。」
星野「それには本当に理由があって、うちは卸し業がメインなので、実店舗で買ってほしいわけですね。うちの本当のお客様は取引先様で、その人も自分の身銭を払って仕入れてくれているわけだから。それはそこから買うのが(決まりというか)。ねえ、売っているお店があるのにも関わらずうちから直接売るのはルール違反だとなんとなく思っているから。WEBショップで私たちの商品を売っているところを見つけるとお断りを入れたりします。自分たちはこういうスタイルでやっているから、そういう売り方はしたくないんですと。直接見て、自分の肌で感じて買ってほしいから。」



【12:ただ私たちはこれが好きです】
五十嵐「その、卸しというか自分たちだけで完結しないところはまた楽しいなと思いますね。取引先さんとの関係とか。あの人たちがいるから実際に全国に手に取って見てくれる場所があって、地方のお客さんとつながれる。結構展示会も楽しいです。」
星野「鍛えられるし。」
五十嵐「行商ってすごいいいなって。商品持っていって、全アイテムを見てもらって手応えもわかりますしね。」
星野「自分たちにも愛情があるから、自分たちの言葉で伝えて初めて伝わることもあるし。」
五十嵐「そうだね。それこそ役割を感じる。」
星野「物だけおいても、今は売れないと思います。やっぱり値段で比較すれば代替品があるし、ただこれはこんなに大変で作っているから、絶対この値段でいいんですとも言えないし。ただ私たちはこれが好きですっていうことを伝えて行きたい。」
星野「あたしたちはこれのこんなところが好きですっていう気持ちを伝える。それをじゃあ買ってくれってことではなくて。私たちの仕事ってそうかもしれないですね。自分たちがどうかっていう自覚はないんですけど人の仕事を褒めるのは結構自信があります。人のいいところ見つけるのは自信があります。」
山口「それはすばらしいですね。」
星野「いやわからないですけど。なにごとも。」
五十嵐「しかもいいところだけではなくて、いろいろあるじゃないですか。でもそういうのも含めて好きっていうのはとても人間らしいし。」





2012年9月7日金曜日

【エフスタイルインタビュー】よん


【13:“全部見ているよ”という自信】
山口「本の中にも最初から最後に物作りに関わることで熱がそのまま伝わるっていうのがあったと思うのですが。例えば、分業したら検品のプロとかいて。そこでプロに任せるのではなく、全部に関わることに熱をおいているのはなにか理由があるのかなっていうのは
星野「まあ、自分たちで全部やりたいっていうこだわりもないんですけど。人に説明できないし、自分たちがデザインとかにそんなに自信がないっていうか。デザイナーっていう自信はないけれども、“全部見ているよ”という自信があります。それぐらいは自信があるかな。一連の流れをみていることが自信になる。それはどんなことを聞かれても同じこと言える。これはどうなっているんですか?って聞かれてもこれはこうでこうでこうですって自分たちでも確認しているから言える。製造に確認してみますとかではなくて。結局誰かのどこかの責任のなすり付け合いみたになるけど。自分たちも、自分たちの手元に来てからは、これってこうじゃないんですかって聞かれてもこれはこういう商品だからって言えるし。それだけが唯一の自信なのかなって思います」

【14:感性を翻訳する】
山口「ものづくりってすごい奥深いし難しいなって思うんです。たくさんの部署があるなかで実際動いているのは社員なのに、それを統括しているマネージャーが会議に出る。実際に動いている人じゃないトップに人が話をして。社員とマネージャーの間で伝わっている気になっている部分がある気がしていて。」
星野「自分たちは別になにも勉強していないけど。いろんな人にいろんなタイミングでいろんなこと伝えないと行けなかった。もちろん社長とも話すし、実際現場で(商品を)縫ってくれる人に変わってもらってもうちょっとここをこういう風にしてくださいって伝えることもあるから。言葉の使い分け方みたいなことが必然と鍛えられていったわけですよね。こういう人にはこういうこと言ったら傷つくんじゃないか、こういうこと言ったら気持ちよく仕事ができるんじゃないかとか。自分たちが感覚的に使っている言葉ではなく実際に形にする人に伝わりやすい言葉にかえるとか。ずっとそういう現場の人むけに感性を翻訳したりすることは多いかもしれないですね。」


【15:循環の意味】
星野「私たちの仕事(をしたことによって)で新しいメーカーと出会って、私たちじゃないブランドじゃない人たちの製品もその工場が作るようになったりするんですよね。でもそれも良い出会いが生まれているわけですよね。それは良いことだなと思います。自分たちで抱え込んでいるわけじゃないから。私たちの仕事をきっかけに仕事に道筋が見えて関わりが生まれていくのはとってもいいことだなと思っているし。循環っていうのはそういう意味かもしれない。ここだけの幸せじゃなくて、先をみこしたり、風景を眺めているようなというか。あの人も工場も仕事がとれてよかったなというかさ。まあ綺麗ごとじゃないけどね。最近は自分たち2人で完結していることに疑問は感じていますね。エフスタイル仕事が循環していないというか。たまっていくわけですよどんどん。お客さんは商品が欲しい、ひとりひとりに丁寧に対応したい気持ちもあって。でもいろんな予期せぬことも起きてきて、もう寝る時間もないみたいな。だからそれは自分たち全然循環してないだろって。そこで新たに仕事に悩んでいる人に手伝ってもらったりとかして、自分たちの仕事も軽くなり、その子にも仕事ができてっていう風に循環が生まれたらいいなって最近は思っています。本質的なことをみて、より良い循環が生み出せるように、2人であることはいずれ手放すだろうなって。まあそれだけも2人っていうのができてきている。できてきていないときは他者なんかいれられなかった。2人の間でもみくちゃだし。いろいろこう感性をすりあわせるのが他人だから大変じゃないですか。今は経験がたまっていろんなものをみてきて、する判断がだいたい一緒だし。だから逆に人を入れられる気がする。」


【16:目的地と行き方】
星野「目的地はかわらない。ただその行き方がなんでその通るかなみたいな(笑)。ちょっとなんかそのやり方はこの道を行くにはおかしいだろっていうのはお互いありました。予期せぬことがいっぱい訪れる。」
五十嵐「なんか試練のように。でも必要なことなんでしょうね。」
星野「だから10年たってやっと小さい山を登りきったみたいな。で頂上でお弁当食べて、おりてきてまた同じ山を登りたいねってなっても登れないですよね。」
五十嵐「その先にちょっと大きい山が待っているんです。」
星野「だから人生は面白いなって思って。だいたい一周してなんか感覚掴めてこのままぼちぼちやりましょうかって思っていてもそうはさせてもらいえないというか。次のステージが用意されていて。」
五十嵐「次のステージのための山だったみたいな。」
山口「あははは」
星野「まじかよー。みたないな。せっかく登ったのにみたいな。」
五十嵐「じゃあこれ試しましょうねみたいな。いままで培ってきたものを試しましょうみたいな。けど試せたときにまた結びつきが強くなるんでしょうけどね。」
星野「なんか人に対して嫌だと思うことって自分にもある部分じゃないですか。だから2人とも足りていな時期にもうちょっとあんたここ頑張ってよって思うところは自分にもあって。お互い見えている目標は遠くにあるから、そこに行くためにお互いねえ一所懸命エネルギーを費やしていかないと行けないから。きっとそれは次の目標があるからできるわけで。(目標が)ないでそこ歩けって言われたらね歩けなかったと思うし。」

2012年9月6日木曜日

【エフスタイルインタビュー】ご


【17:家族でもないし、ただの取引先でもない】
星野「例えば社会に出て、まだ自分たちに何の肩書きもついていないときにやってみなよって仕事を任せてくれる人ってすごい貴重じゃないですか。失敗してもいいからやってみなって言ってくれた人がいたから今があるわけじゃないですか。絨毯の工場の先代の社長はすごい大事な存在ですね。しかも文句も言わずずっと見守ってくれて。危なっかしいことも、それは無理だろってこともけんかもしたけどなんだかんだずっとうちのファンでいてくれた気がする。」
五十嵐「そうだね。」
星野「ただ、仕事先ではなくて、頑張れよみたいな感じで応援してくれていたから。本当に感謝していますね。」
山口「本当に人との関わりの中でお仕事されているかんじですよね。」
星野「そうそう。だから家族でもないし、ただの取引先でもないし。結構本当に死に目にあうようなことも多いし。その会社が変わり始めているときに話の聞き役になったりもするし。ただ物が来て流しているだけではなくて、その会社の時代の移り変わりにも一緒に立ち会うことは多い。立ち会えているから物を考えられているところもある」
五十嵐「そうだね」
星野「立ち会っていなかったから、あなたのここの商品のこれ作ってくださいって言えば良いけど。例えば先代が得意だった技術で、今の代の人は得意じゃなくて作りたくないのに昔からおさめてくれているから、これちょうだいよって言いづつけることはしなくなるっていうか。こっちも遠慮するし」
五十嵐「人間が違うから。」
星野「そういう風にものを作っています。」


【18:今、その人とできることをやる】
五十嵐「やっぱり生の人間と関わってできるものも違うので。そのときを大事にしていますね。過去にこだわりもないし。」
星野「ない。」
五十嵐「未来にもこだわりがないし。」
星野「ない。今できることをやる。」
五十嵐「今、その人とできることをやる。」
星野「今、手元にあるものでやる。どうしてもこの素材を手に入れて、これを作りたいんですっていうのは絶対言わないですね。」
山口「冷蔵庫にあるもので作る感じですか。」
星野「そうそうそう!まさにそれです。いつもそうでもす。なにを作るって買いにいくことないね。でも、そういう風にフランス料理のフルコースで作れるようなデザイナーさんもいるし、私たちみたいな残り物とかもう期限が短いものをより面白くするほうが得意かも。この甘みはいましかないみたいな。あはは()


【19:ギュッて関係があれば、あとあと手放せる。】
山口「本の中で一環して関わることで熱が伝わるっていうことと、みんながはいってこれるスキマがあるていうお話をされていたじゃないですか。それって同じ物にいろんあスパイスがもっと足されて最初よりおいしくなるっていうイメージですか。」
星野「そうですね。あと化学反応するっていうのが。」
五十嵐「予想もつかない化学反応。」
星野「自分たちがプロフェッショナルな部分は一所懸命やって、あとは手放せる。まあ親子関係もそうなんじゃないですか。ギュッて関係があれば、あとあと手放せる。」
五十嵐「それは信じられているってことですよね。まあやるだろうっていう。」
星野「ぎゅっとした安心感っていうか。信頼関係というか。それが一緒にごはんつくることであったり、毎日一緒に食べて会話することなのかもしれないけど。信頼して手放すってすごい大事なんだなと思って。さっきの社長の話じゃないけど、私たちが本当に無鉄砲だったけど、手放してくれたから今があるわけで。自分たちのやることは集中して、受け渡すとすごい嬉しい結果が待っていたりすることが多い。それはいわゆる分業とはまた違うかもしれないですね。もうつながっている場所が別だから。もうつながっているから手放すというか」


【20:地味な作業=良いとこどり】
山口「なんかその話はちょっと戻るんですが、私はエフスタイルさんが分業していないところに魅力を感じているんですが、単純作業を人に任せて“デザイン”とか“クリエイティブ”みたいな仕事をやってすごい良いとこどりだなって思うんですけど。良いとこどりをしたいなと思ったりしませんか。」
星野「いや、私たちが良いとこどりするなら、検品ずっとやっていたいね。私たちのいいとこどりだったらそういう地味な作業の方がやりたいです。」
山口「へえ!」
星野「世の中がそうしてくれるなら。デザインとかしなくていいならしたくない。私たちのこれちょうだい!っていうのは地味な作業をこつこつやらせていてほしい。そっちのほうが落ち着くもんね。決してそのクリエイティブな作業が華やかだとは思わないですね。しかたなくやっています。
五十嵐「そうだね」
星野「だからできたものをよりうまくプレゼンテーションするとか、例えばこれができましたって写真を撮影するとかこれがこんな人に渡るようにこんな写真を撮って、カタログを作ろうとかのほうが好きですね。実際考えているときは苦悩ですね。なぜなら自分たちがデザインに対してすごく厳しいから。こんなもんつくってどうするんだよみたいな。そんなに物が多い暮らしをしていないから。あともっと良いものを知っているから。これ私たちが作らなくてももっとセンスのある人がこういう工場で作った方が良いんじゃないかと思うとすぐ諦める。私たちがこのポジションやる必要ないよねっていうので結構すぐ手放すし。物のデザインを考えるというか、時代のスキマを見るというかんじ。学生時に私たちの悩みは“もうそもそもデザインなんてしないほうがいいんじゃないかってことでしたね。もうデザイナーになる教育を受けて輩出される人材が多すぎる。そんなにいらないでしょって。だったら別に作らなくていいし、今あるものをちゃんと伝えたほうがいいんじゃないかっていう考え方だったから。デザインをするっていうこともちゃんとものが上手く伝わるための言葉みたいなもので。自分たちの思い出づくりのためではないというか。”

2012年9月3日月曜日

【エフスタイルインタビュー】ろく


【21:出会いは才能】
星野「クリエイティブとかデザインとか、いいけどね。ただ、売れなきゃね。もうすごいばっさりしているけど。でも例えば、有名な作家でも無銘な時代があるわけじゃないですか。そんな時代に君やってよって家だったら何千万もですよね。っていうのをボン!って出せる人にであえるかどうかってすごい才能ですよね。だから形になるっていうのは必ず出会いがあるわけですよね。例えば無銘の時代のデザイナーのときにも私たちのマットの工場の社長さんみたいな人が現れて、サンプル代いらないから好きにやってみたらいいよって人に出会えてデザイナーの一歩が踏み上がるわけですよね。さらにそこで作り手さんがつくってくれたものをちゃんと売らないと恩を果たせないから一所懸命売るとか。結局すぐに階段を登りきれなくて一段一段ステップがあるわけで。デザイナーって名前が売れればお客さんついてくるけど、売れるまでどうしているかっていうのが大事な気がしないですか。」
山口「そうですね。」
星野「名もないデザイナーに話しは来ないですよ。どんなに能力があっても。だってものができてこないから。お金がなれば、原材料買えて、製造動かせて、型をつくったりなんなりすることができない。金銭的な体力がないうちに物はできないし。例えばどんなに良いデザインがそこで生まれたとしても、売りたいって言ってくれる人に出会えないと売れないわけで。だからそういうふうに全体を考えると私たちはデザイナーになりたいなんて絶対言えない。」
五十嵐「そうだね。デザインをしたいっていう気持ちと能力があっても、なかなかそれだけでは回っていかない。それ以外のこともできるか、ちゃんとパートナーみつけて足りないものを補いながらまわすことを考えていけるかどうかってことだよね。むずかしい。」
星野「私たち自身がそういうのでひねくれているっていうか。ひねくれているのにデザインをしなくてはいけないというか。やっぱり能力的には自分たちが上がらないといけないから。それはよかったよね。好き好きってなると見失うことは多いけど別に好きじゃないけどデザインをやらないといけないからシビア。」


【22:どこかで人に渡せるものがいい】
五十嵐「自分だけが好きでもだめだよね。他の人も好きだったり。もちろん自分もすきじゃないとだめだけど。」
星野「好きすぎることってあるかしらね。ご飯だべることは好きだね。採算とれないから飲食はできない。」
山口「じゃあ、好きすぎることは仕事にできないってことですか。」
星野「うーん。うーんと、まあそれは技術的な面での好きすぎるだとおもうんですけど。だからどっかで手渡せるものだといいんじゃないですか。好きすぎてできる人もいるからなんとも言えないけど。私たち自身は好きじゃなくてよかったなって。休みは仕事がらみに人と会いたくないし、生活のために仕事をしているのはベースにあるから。ただ、いろんな人にあえていろんな話を聞けるのは好きなことだからよかったなと思う。」



【23:好きでやっているわけではないところにミソがある】
山口「そのリアリティとかジビアとかいう言葉が出てきたんですけど、その現実世界で生きていることを結構大事にされていらっしゃるんですね。」
星野「なんでかって、それもいろんな人とであって学んだんだけど、作り手って代々後を次いでいるわけじゃないですか。別に好きでやっているわけじゃない。そこにミソがあるっていうか。でも好きじゃないけど、続けていくパワーの生み出しどころをちゃんと捉えているから本質的でありますよね。好きに酔っていないというか。別に好きじゃなくて始めたからこそ、その人が本当に大事にしている部分がよりわかるっていうか。そういう人から学んだ部分はおおいですね。でも確かに良い仕事をしているから、すごいなって思います。」
山口「強いですね職人さんは。」
星野「やっぱりそれは世の中に必要とされているからだと思います。例えば親父がなくなって自分がそれを継がないとこのお菓子屋さんのこのふるいが作れないとか、この職人さんのこの道具が自分しかつくれないとなると、世の中から求められるわけで。好きすぎず、その仕事についたっていうのはある種役割を与えられたのではないかな。時代がその人を求めていて、その役割を果たしている。私たちもこの仕事を好きすぎるわけではないけどこの仕事を与えられたと思っていて、与えられたからにはその人たちが自分たちのことをどう捉えて、どういう風に活かしてくれようとしているのかに精一杯こたえたい。だから自分たちがどうしたいっていうよりも、全体をみてから考えますね。たぶん。」



【24:大切にしてきたこと】
山口「そろそろ時間なんですけど、最後になにを大切にされてきましたか。」
星野「やっぱり続けることですね。継続ですね。続けていくから見えていくことがあるから。今の若い人もこれは自分にあわないってすぐ辞めるんじゃなくてつづけてみて、なにをあわないのかを見つけて辞めていってほしい。自分はこの辺をもっと学びたいからやめるとかね。理由がはっきりしているならいいんですけど。いろんな道を知っているからこそ、なんか欲張りすぎるっていうか。」
五十嵐「確かに。成長っていうことが入っていない気がする。今の自分にあわないっていう。あわないかもしれないけどすごい成長できるかもしれないって。なんでも今の自分にってあてはめるとなにもない。」
星野「継続でしょ、最近大事かなって思ったことは夢中になること。我を忘れて集中できることを見るけること。無我夢中なときって変に意識して道を歩いている訳じゃないから。必死に求められることをこなしていって気づいたときにこんなに進んでたとか、こんな景色があったって、自分たちでたどり着いたようでつかされたみたいな。そのほうが自分たちがいきていくための地図が広がりやすいというか。なんかこうちゃんと目標があるより、なんでこんなことやっているんだろうって思っても、今自分に求められていることはこれたって必死こなしていったときに、出会った人とかたどり着いた場所が本当なんだと思う。とにかく自分の手元にあることで必死でやる。」
五十嵐「あとは笑顔。笑い。やっぱりそれを失ったら辞めた方がいいんじゃないかって。別に楽しいとか楽しくないとかじゃないけど。やっぱりすごい楽しいって大事ですよね。空気が変わります。」